僕は皆さんから「映像制作の仕事を本業にしている」・・・と思ってもらえることが多く、それは素直にとても嬉しいことであります。でも実際には別の仕事も持っていてむしろ収入的にはそちらがメインです。という書き方をするとちょっと浮足立ったというかフワフワした頼りない印象を与えてしまうような気がしてあまり公言しないようにしているけど、まあカッコいい言い方をすると「複数の事業を展開している」とでも言っておこう(笑)
自分がやってみたいことやこれから実現したいこと。それを仕事にしたものが既に世の中に存在していればその業界に入っていけば良いのでしょうけど、自分が「これやりたい!」と思っていることがピンポイントで事業化されていて市場も出来上がっているということは意外と殆ど無い。やっぱり「こんなサービスがあったら面白いかも」と思うところが起点になってるから、まあ当然と言えば当然のことではあるんだけど。
実はnostalgicbikeをやり始めたときの当初は動画ではなくテキスト記事でした。こんなことを言うと「何様だ!?」と憤慨されてしまうだろうけど、僕は学生の頃から旧いバイク、いわゆる国産旧車が大好きで専門雑誌を見ては憧れを抱く少年だったわけですが一つだけ不満(というか疑問に近い)がありました。
それはボクが大好きだった国産旧車の専門誌の全体的な雰囲気が「オッサンぽい」というところ。ハーレー専門誌は洒落た雰囲気のあるものが多く、女性も出てくるしファッションと絡めた記事や広告も載ってるのに国産旧車になると基本はバイクの機能、性能、カスタムに関わる情報ばかりで良くも悪くもストイック。片やヘルメットも被らず金属バットや鉄パイプを担いで握り拳で違法車両に跨る10代の少年の写真が所狭しと掲載されているか、片やネジ一本までピカピカに磨いた純正パーツで固めた車両に背筋をピンと伸ばして跨る40、50代のおじさんの写真が掲載されているかのどちらか。要はどちらもある意味真面目で硬派過ぎて色気が無い。そして色々な意味で両極端。良くも悪くも”中間”をとったものが無い。両雑誌とも楽しんで読んでいたし好きだったけど、なぜ中間が無いのか疑問に思っていた。
国産旧車の専門誌だってもっとオシャレで気楽でナンパなメディアがあっても良いのにと思い続けていたらいつのまにか世の中の情報メディアにインターネットが加わり、素人でも個人でも雑誌に負けないくらいの発信力を持つ人も現れ始めた。それが2000年代だったけど、間違えてアカデミックな研究の世界に足を踏み入れてしまって社会に放り出された時期が遅く、スタートが遅れた自分にとって世の中で起きていることは完全に他人事。自分には全く関係のない遠い世界での出来事として認識してました。ところがミラーレスのデジタル一眼レフカメラが世に放たれたとき、急に身近な出来事として捉える瞬間が来た。
これを使えば知識も経験も無くてもプロカメラマンが撮ったような雰囲気のある写真も動画も手軽に撮れる。
そうだ学生時代に旧車専門紙に対して抱いた素朴な疑問に自分で答えることができると考えた自分は、PanasonicのGH3という一眼レフカメラを購入。レンタルサーバーとドメインを借りてWordpressでWebサイトを作って自分が撮ったオシャレな旧車バイクの写真を色加工してアップ。それだけじゃつまらないから、Javascriptでコードを書いてダイナミックに写真が表示されるようにカスタムして(内容はともかく見え方だけは)自分なりに雑誌を超えることができたのではないかという自己満足に浸りながらFacebookページと連動させ、小遣いの範囲で広告を打ってみたら凄いことが起きた。
あっという間にフォロワーが1万人を超えた。
デジタル一眼レフ+Facebookページという旬なメディアの選択と、国産旧車の雰囲気重視の写真が掲載されたWebサイトの希少性が組み合わさって軽くバズったのでした。
そしてその後Instagramというメディアが登場したときにこのサイトはピークを迎えました。ピークを迎えたということはこれからは「落ちる」ということ。この時僕はカメラの絞りもシャッタースピードもよくわかっていない完全なる素人だったけど、Instagram上ではまだカメラ性能が低いiPhoneで撮影して投稿するやり方が一般的で一眼レフで撮ればそれだけで「キレイな写真」と言ってもらえてフォローしてもらえる時期から、一眼レフカメラの有効性に気付いた熟練者たちが参入し始めていた時期に移行し始めていたからです。
まあインターネットの時間はアナログ世界の10倍くらい流れが速いから当然だろうなと思いながら、次に何か面白いことができないかと仕事をサボり(笑)、渋谷のUplinkで映画を観た後に気分転換にネカフェでWebサイトのPHPコードを書いていたら何気なく観たYoutubeでStories of bikesというチャンネルをたまたま見つけた。
このチャンネルの動画の映像の質も音もなんだか映画のようで、日本語のYoutube動画でこのレベルの品質の動画を投稿しているチャンネルは他に見たことが無かったこと、デジタル一眼レフでこれに寄せたような動画は恐らく作れるだろうということ、これらが組み合わさってモヤモヤと自分のなかで引きずっていた「映画を創ってみたい」という気持ちが爆発。
興奮しながら家に帰って、自宅から一番近所にあるScanという国産旧車専門ショップにGH3を片手に行って撮らせてもらったのが↓
品質については何も言わないでください(笑) カメラの使い方も知らずに思い付きで撮ったにしては内容的には上出来だと今でも思ってます。
この時「試し撮り」のつもりで撮ったので被写体になって頂いたScanの社長である福田さんからは特に許可も取らず(謝)立ち話をしてるあいだに勝手にカメラを回してインタビュー撮影。編集してみたら福田さんのセリフがメチャクチャ良かったので、これも特に許可は得ずにYoutubeへアップしてみたらみるみるうちに再生回数が上昇し、ちょっとした恐怖を覚えました(笑)
後日談だけど、福田さんは撮られたこともアップされたことも知らないから、イベント出展等で行く先々で「Youtube観たよ!」「カッコよかったよ!」と色々な人から言われたけど何のことだかサッパリ分らなかったと言ってました(本当すみませんw)。
その後は更に迫力ある、美しい映像を撮るためにカメラを数段上の機種に変えてみたり、ジンバルを導入したりドローンを取り入れてみたり、録音方法を工夫して排気音をクリアに録る手法を発明したり(?笑)。更には
ダラダラとここまで書いちゃったけど、結局何が言いたいんだっけ?
あ、そうそう。nostalgicbikeは当初のテキスト中心のWebサイトから一眼レフで撮った写真中心へ移行し、そこから映画風の雰囲気重視の動画へ移行して、今はドキュメンタリー映画を撮る監督にも手伝ってもらいながらストーリー重視のドキュメンタリー映像という場所に辿り着いてます。そしてこれは計画を立てたことでもないし予測したことでもないからたまたまの偶然と捉えることもできるし、自分の興味の矛先と世間の市場ニーズが導いた必然と捉えることもできる。
つまりこれまで取り組んできたことは「何か面白いものを創りたい」とか「映画のようなカッコいい映像を作ってみたい」という、その時その時にできた目標に向かうための「手段」であって目的ではないということ。
つまり・・・これからも面白いことを実現するために手段を変えたり増やしたりすることには柔軟でい続けたいというところです。そして今現在も沸々と「これ作ってみたい」「面白そう」「これ事業になるかも」ということに取り組んでいくのでよろしくお願いします。
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